2023年装丁本まとめ
こちらの8冊が私が2023年に装丁した本。
そらまめ文庫、中島さなぎさん『あの山のむこう』(右下)はお友だちの描いた絵をつかいたいとのご要望。そらまめの定型とバランスを考えて、絵が生きるように配置。もとの絵がとても凝っていてうつくしいので、置いただけでステキ。
そらまめ文庫、佐々木エツ子さん『備忘録』のカバーは、タイトルのイメージから、勿忘草の写真を使いました。
そらまめ文庫、大島健志さん『オールライト』は、大島さんのイメージがほぼ完成していて、それをそらまめ文庫定型に融合しただけで、ほとんど大島さんのデザイン。スカッと思い切ったデザインで、なかなか私にはできなかったと思います。
八木大慈さん『あるがまま』上製本、圧巻の434ページ! 画家の瀬政光彦氏の水彩画を生かして、手触りのよい紙でマットニスで仕上げで。
そらまめ文庫、増田和三さん『こんなんどうや?』は、盟友よし・はじめさんが編集した、今南道也さんの遺作集。お酒が好きで、ユーモアたっぷり、どこか子どものような今南さんらしく、にぎやかな酒場の写真を。手前の子どもは、よしさんと、今南さんのイメージ。地味な装丁にはしたくなかった。
永田和美さん、『花にもなれる』 著者からイメージを引き出し、「わたし、グロリオサが好きなんです」とお聞きし、いろいろ素材を探しまくって、やっと納得するうつくしいものをみつけられた。
見出丘(みいで・たかし)さん『五行歌丸で旅をして』タイトルから、船で冒険するイメージ。船首に配置した猫は、見出さんの愛猫「ジェニー」 お写真を拝見し、似るように色や柄を描いた。いくつも素材を組み合わせてちょっと苦労したけど、ポップで楽しい装丁になった。
小谷要岳さん『きずな』 舞鶴出身の作者が、鶴のイメージをというリクエスト。こちらもいい素材がみつかりすっきりした装丁にした。
2023年は、前半はそらまめ文庫が多かったけれど、後半はベテランの重厚な著書が並びました。
大切な一冊、ご信頼を頂きありがとうございました。
市井社 井椎しづく